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料金に関する考え

更新日:1月23日

当オフィスのセッション料金は1回あたり13,200円(50分間)です。これはおそらく、日本の心理職の開業オフィスとしては、相場よりも高いのではないかと思われます。ではなぜ私がこの料金を設定しているのかと申しますと、それは私自身が分析セラピーによって生きている意味と実感を感じられるようになったことが主たる理由であると思います。生きることがおもしろくなったと言ってもいいでしょうか。以前、あるエッセイで、「それでも人生は生きてみる価値がある」と実感することが分析セラピーの眼目の一つであると書きましたが、私がその事例、あるいは体現者の一人なわけです。そのような分析セラピーにおける、一つ一つの分析セッションにはこのくらいは支払ってもいいかな、と自分で思える金額を設定したわけです(私が個人分析において支払っていた料金と同水準です)。


私はメラニー・クライン、ドナルド・メルツァー、ウィルフレッド・R・ビオン、マーサ・ハリスといった先達の臨床哲学、あるいはタビストック・クリニックの治療文化、そしてそれらが山上千鶴子や福本修を経て日本に伝わったもの、そういったものの系譜に属する者と自認しております。それは一言で言うならば、「認識愛に基づく人間讃歌の精神分析」とでも申せましょうか・・。人が、自分が生きていることに深い関心を抱きながら、その生を歩んでいくことができるように心を尽くす、といったこと。その臨床哲学。


ですから、当オフィスの正規料金には納得しているわけです。ただ、あくまでも私の生活感覚ですが、当オフィスの正規料金を無理なく支払い続けるためには、おそらく年収600万円くらいが必要ではないかと思われます。私のように職業上の訓練のために分析セラピーを受けるのであれば、他のことを多少犠牲にしてでも、それにお金をかけようという動機を維持しやすいですし、そういうことにお金をかけるコミュニティの中で仕事をしておりますので、周囲の理解も得やすいわけです。


公平さの象徴、天秤

しかしながら、一般の方は事情が異なるのではないかと思われます。おそらく、一般の方にとっては、分析セラピーの代金というのは、その方が生きるコミュニティや文化とは離れたところで発生するまったく新しい出費ということになるのではないでしょうか。もちろん、自分の生き方を見直そうという壮大なワークをプロフェッショナルに依頼するわけですから、それなりの出費を受け入れて頂く必要はあるにしても、数年間継続することを考えると、年間の負担額が年収の10%を超えない程度が妥当ではないかと思うわけです。


そう考えますと、ここで日本の社会的現実に目を向けなければなりません。日本の平均年収はこのところ400万円台で推移しているようですし、女性に限れば300万円以下になります。これでは、大多数の人にとって分析セラピーは手の届かないものになってしまうでしょう。この状況を看過して「人間讃歌」とはいかに、と首を傾げてしまいます。


そこで、これまで訓練を受けに来られる専門家の方向けに限定していた「料金の調整」を一般の方にも拡大してはどうかと考えました。具体的には、ご収入やお子さんがいるかどうかといったご事情により、年間の負担額がご年収の6〜10%程度に収まるように、1回分の料金を調整するということです。負担率に幅を持たせているのは、一般的に申し上げて、同じ割合なら収入が少ない方が実質的な負担が大きくなるからです。たとえば、月収40万円の人にとっての4万円と、月収20万円の人にとっての2万円では、後者の方が実質的な負担が大きいということです。収入が少ない方が支出を調節できる余地が小さいからですね。名目上の負担率よりも、実質的な負担を、より公平に近づけられないかということです。


このような設定により、分析セラピーがお役に立てる方にとって、それが選択肢の一つになる可能性を高めることができればと思いますが、どのようなやり方がよいのかというのは、今後もそれぞれの専門家が模索していくことなのでしょう。

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