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子育てランドの入場料

今回のブログはちょっと問題作かもしれません。そんなこと言っちゃダメ、と誰かから言われそうです。でも子育て中の親御さんが案外、気に病むポイントかもしれないので、あえて書いてみようと思います。


子どもが小さいうちは、実家の家族や親戚、あるいは友人などが訪ねてきてくれると、とても助かることがあります。彼らが子どもの相手をしてくれるからです。親としては小さい子どもにありがちな繰り返しの多い遊びや、仕事で疲れた大人の体には堪えるごっこ遊びにふだんから付き合っているので、訪問客が新鮮な気持ちでそのような遊びに付き合ってくれるととてもありがたいわけです。しかも、彼らはいろいろなおみやげまで持ってきてくれたりしますので、人によってはここまでしてもらって申し訳ないと思うこともあるようです。



しかし、ありがたいという感謝の気持ちが出てくるのはわかるとして、申し訳ないという罪悪感まで抱くと、気遣いが先に立って、彼らの訪問を心から楽しめなくなってしまうかもしれません。もちろん、元々の家族関係にしこりがある場合は、そもそも家族や親戚の訪問を楽しめる余地などないこともあるでしょう。しかしその場合でも、友人の訪問は楽しみたいものです。


そこで、この「子どもの相手をしてもらって、おみやげまで頂いて」という状況が、本当にやってもらっていることばかりなのか、ということを考えてみましょう。まず、訪問客は多くの場合、小さな子どもとの遊びをけっこう本気で楽しんでいます。親にとってはいつもの遊びなので、付き合わせてしまって申し訳ないと思うかもしれませんが、訪問客にとっては小さな子どもの一つ一つの反応が新鮮でおもしろいのです。ですから、案外、訪問客に楽しい時間を提供しているわけです。


ではなぜ、あなたの子どもは訪問客と楽しく遊べるのでしょうか。それは、あなたがふだんから、ちょっと飽きてきたなと思っても、子どもの遊びにちゃんと付き合ってあげているからでしょう。それだけではありません。子どものイヤイヤを即座に叱責せずに気持ちを理解しようとしたり、この子は何が好きなのかと関心を向けてみたり、怒りを制御しながら叱るべきときは叱ったり、子どものあれこれに体と心を傾けているからです。


こういう子育ての骨の折れる部分をあなたがしっかり引き受けてきたことで、「大人は遊んでくれる」という期待と信頼が子どもに育まれているので、あなたの子どもはよそから来た訪問客とも楽しく遊べるのです。



いわば、あなたは訪問客に対して、子育ての一番楽しいところだけを提供しているとも言えるわけで、彼らからのおみやげは、そんな「子育てランドの入場料」としてありがたく受け取ってもいいのではないでしょうか(あーあ、言っちゃった。だから問題作だと言ったんだ)。テーマパークのスタッフさんが、入場料を払って来場してくれるお客さんに対して、「ありがとうございます」とは言っても、「申し訳ございません」とは言わないように。スタッフさんも、夢の国を実現するために苦労して準備しているわけですから。


もちろん、我が家に遊びに来てくれる訪問客に対して、「入場料取ります」とは言えませんが、気持ちとしては、「子どもの相手してもらって、おみやげまで頂いて、申し訳ない」ではなく、「来てくれてありがとう!まあ楽しんでいってちょーだい」という感じでいいでしょう。


子どもは子どもで、訪問客に対しては案外「サービス業」をやっていたりするわけで、いつもの我が家に戻ったあとは、「おつかれさん」と互いの健闘をねぎらい会えるといいですね。

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